かみそりのような蕎麦


たかが料理、たかが蕎麦なんですが、かみそりのような切れ味を持った緊張感のある蕎麦でありました。


島田 藪蕎麦宮本さんの蕎麦です。


休みが同じ月曜日なので、15年近く前に始めて伺ったのにまだ4回目。大きな事は言えません。


それでも前回に比べて格段の差があるわけではないのですが、確かにひと盛りから漂う緊張感は鋭さを増しているような気がします。


どこかのラーメン屋さんのように「道」(ラーメン道とかいう)などという大上段に振りかざしたところも無いですし、どこかの料理屋のように主人が講釈をまくし立てる(冷や汗)事も無いのに、蕎麦、汁、薬味、蕎麦湯はご主人の姿勢その物を現しています。


今回は、ざる、鰊蕎麦、春野菜の天ぷら。


個人的には天ぷらをそばつゆの中につけて食べてしまったりする事も好きで、蕎麦屋のご主人には邪道だと怒られてしまいそうなのですが、宮本さんの蕎麦はそうはさせないような威厳が蕎麦とそばつゆにあります。


「天ぷらはそれ専用の天汁か塩で食べてね」


言われなくてもお膳がしっかり語っています。


料理はそうありたいものです。


できる事なら刃のような緊張感と真綿のようなくつろぎが、相反しながら両立していれば嬉しいのですが、緊張感ばかりを感じてしまうのは客としての私の力の無さなのかもしれません。


時間を作ってでももっと伺えるようにします。


車で4-50分ほどのところにこういう店があるのですから。


蕎麦好きにはお勧めをしたいのですが、一般的なざるの1/3-1/4の量で同じ値段ということも承知しておいていただいた上でなくてはいけません。