器
納戸を整理すると、店新築後一度も使わなかった器がごっそりでてきました。
8〜10年前はかなり活躍していた器なのですが、残念ながら今は使えません。
使う器の傾向が全く変ってしまったらです。
誤解を恐れず言ってしまえば、「雑器」→「作家物」
さらに誤解を恐れず単純に言ってしまえば、客単価のアップ。
料理の値段に見合った器というのは間違いなくあります。
私たちプロフェッショナルが見れば、たとえTVの番組でも、その店の最初に出る一皿をみれば、おおよその料理の単価が推測できます。
コース料理3万円で、安物の雑器ばかりを使うわけにはいきません。
コース料理2千円で、永楽、道八、青華を使うのは自由ですが趣味の世界でしかありません。経済効率は最悪です。
今の私ン処の器が値段に見合っているかどうかはお客様の判断ですが、私自身としてはかなり無理をしています。
実を言うと、もう少し上を狙うつもりで器を揃えています。
そういう器の中に何枚か昔の雑器を取り混ぜてしまうと、全体のバランスがガラガラ崩れてしまいます。一枚の器のために、「なぁんだこんなもんか、この店は」と思われても仕方ないと言う具合に。
納戸から取り出した器は、ただであげてしまうつもりです。
この器に戻らなければならないようなら、店は閉めてしまったほうがよいかもしれません。