若さと食欲


20代前半のお客様が自腹でお見えになることはあまり多くありません。


ましてやそのお客様は学生さん。


春休みを利用して、鈍行列車とマウンテンバイクで九州一周の旅の中途で寄ってくださいました。


食材やお酒にもとても詳しく、好奇心旺盛な話ぶり。


そしてなりよりその健啖ぶりが小気味いいほど素晴らしい。


普通より少々多めにしてみたフルコースに、普段だとご飯釜「かまどさん」で炊く、一合三人分のご飯を一人でぺロリと平らげられました。


当然多いだろうからおにぎりにしてお持ちいただこうと考えたのは甘かったようです。


たくさん召し上がっていただけるというのは、職人からしてみるとなによりうれしいものです。


「美味しいです」と言いながらほんのちょっと残されるより、何も言わなくても、ワサワサあっという間に平らげられたほうが説得力がある場合があります。


これから一人で自転車を駆り、食事は飯盒、寝袋で野宿の旅なのだそうです。


その体力も、食欲も若さゆえの素晴らしさです。


旅の最初で最後の豪華食事に私ン処を選んでいただいたのは光栄です。


こういう気持ちのイイ若さを拝見すると、メディアに登場する若いのと違って、「これからの日本、捨てたもんじゃないぞ」と思います。