津軽三味線


津軽三味線と言ったって、故高橋竹山とか山田千里(だっけ?)、最近よく見る吉田兄弟くらいの名前を一応知っているだけでしかありません。


休みの日の午後、めったに聞かないNHKラジオを車の中で聞いていると、木下伸市という演奏家が出演していました。


いきなり彼の生演奏で始まったコーナーは、驚くほど高い能力を持った実力者であることを示していました。


名前のみの紹介で、年齢も素性も姿も見えないので、演奏の濃密さだけが車の中に響き渡り圧倒します。ラジオと言うメディアがかえって幸いしたのかもしれません。


音色の太さ、音質の艶、節回しの豊穣さ、すべてにわたって「津軽三味線ってこんなもの」というレベルをはるかに超えていました。


その後のインタビューを聞いていると、その道では知らない人はいないくらいに有名な若手演奏家のようで、かなり幅広く活躍されているようでした。


津軽三味線の知識は全く無くても、素晴らしい演奏家の音は聞けば心に響くものです。


なんの予告も無く耳に入ってきた音が、その日一日を豊かな気持ちにしてくれました。