お酒の値段


日本酒は価格競争に飲みこまれなかった稀有の商品(ちょっと大げさでしょうか)であります。


もちろん、ディスカウンターに置かれているもの、プレミア価格の物は除いてのお話です。


久保田の万寿がこちらの店では6980円、こちらでは7500円ということはありません。


ほぼ正規の価格が守られています。


世間で認められているいい蔵のお酒は、ほとんど例外なく均一が当たり前になっています。


ところが、ウイスキー、ブランデーなどは正規ルートのものがあまりにもお高いので、ほとんどの皆さんが並行物に走ります。


ある程度のバーやクラブならば、レミーマルタンやオールド・パーを町の酒屋さんの通常価格で買うということはないと思います。


お客様もそう言う店で、お酒のグラスやボトルの単価が高いの安いのということは言われません。そういうことが目的ではないからでもあるのですが。


ところが、話がワインとなると話は一変します。


店や買いつけルートによって値段はずいぶんと違いますし、この分野には異常にそういうことに詳しいマニアがいらっしゃいます。


ワインリストを熱心に読まれている方の何割かは、品揃えとそれに対する価格設定を解読しています。まるでソムリエさんのようです。


で、
当然のように価格に厳しい。


「この82のムートン、おれは¥25000で買ったよ」とか、
「90年のラグランジュなんて2000円台で買ったもんだ」とか、
(もう飲んじゃってないってことです)


暗にこのリストは高いって意味をこめている場合もあります。


嵩じて、安い値段を知ってしまうと、高いワインはもったいなくてレストランで飲めないと思ってしまうようです。


ワインブーム以降、ワインの知識も一般的に深まり、需要も増えたことは有りがたいのですが、如何せん飲みごろをむかえた良いワイン、有名ワインは高値安定を続けています。


各飲食店は買い付けにとても苦労しています。


いくらでもいいなら、ビックヴィンテージのグランバンも次第に手に入るようになってはきましたが、とても店には置けない。


それでも、自宅でそういうワインを楽しんだ経験を持つマニアも増えています。


良いレストランのレベルの高いソムリエさんは、そういうマニアのお話を上手に受け流し、おだてて、それなりの満足のいく気持ちのいいワインを選んでくれます。


良い店のワインの値段にはその意味でのサービス料が含まれていると思えば安いモンです。


私ン処?


私はソムリエではありません。言わば、ワイン愛好家です。


愛好家が好きなワインを集めて、お客様に飲んでいただく、くらいが正直なところです。


愛好家、つまりマニア?


値段付けは正しいだろうか??