輪島塗り


昔は、塗り物といえば輪島しか売りにこなかったので、お椀も輪島、お膳も輪島、日々に使うお弁当箱も何の不思議も無く輪島でありました。


私がこの商売に入った頃にはプラスティック、ベークライトなどなど安い素材がたくさん出てきていて、既に輪島は高級品の代名詞になっていたのです。


この4〜5年、お付き合いのできた輪島塗りの業者は良いものを持ってきます。


これまで、修理や小物をいただくばかりでしたが、久しぶりに昨日お椀を見せてもらいました。


テーブルに並ぶ20個くらいの様々なお椀
「いいなぁ・・・」
「欲しいなァ・・・・」という品物ばかりです。


20個の総計だったら、150万円〜200万円以上


一客5万円を下るものはほとんどありません。


作家さんに創っていただく器より、職人が手をかけた染付けより、なによりやっぱりお椀が高価です。


最低20客揃えたって100万円以上なんですから。


それでも、自分の理想型に近づくにはさらに気のきいたお椀は必要です。


吉兆さんも千花さんも桜田さんも招福楼さんも、お椀の迫力は料理の内容だけでなく、お椀自体の凄みでもあります。


神楽坂に新たにできた、小さな小さな日本料理店のお話を輪島業者のご主人から聞きました。


既に、私も雑誌などで存在は知っている店だったのですが、新装開店にも関わらず、いい器をいっぱいもっていらっしゃると。修行時代からこつこつといい器を買いつづけ、お椀だけでも輪島の良いものを10種類は買っておられるということです。


志の高さの違いです。


イカだ、ジャグワーだといっている場合ではありません。


伊賀在住のある作家さんに絵唐津と黒唐津をすでに注文しているし、今回の尾長鳥図の煮物椀も含めるとワイン貧乏だけ出なく、器貧乏にさらに拍車が掛かります。