潔い美しさ


店のお飾りは、すべてお正月用になっています。


30年近くお付き合いしていた、しめ縄を作りの農家さんが仕事を止められ、今年は松をベースに花餅とお年玉のポチ袋をあしらったモダンなしめ縄を作ってもらいました。


さらに入り口の御簾垣には紅白の水引を使ったお飾り。


玄関には大きな三宝鏡餅、手漉きの奉書を敷いただけのこれ以上は無いシンプルな鏡餅です。そして、玄関のお花もしめ縄にあわせたモダンな正月花。


階段の上がり口には三箇所にリース風の水引。


襖絵のある小萩の間には、獅子舞のお囃子をまねたお花を置きましたので、お軸も静光さんの越後獅子のかわいらしい絵にしました。


他のお部屋も蓬莱山のお軸、宝船のお軸と正月らしさのあるものばかりでまとめてあります。お花はお軸を生かすように押さえ気味のものばかりです。


お飾りも料理の盛り付けも、基本は潔さだと思っています。


雑なものを廃して、マイナス、マイナスしていった潔さにこそ美しさがあります。


なにか足りない、と、たしていくとろくなものにはなりません。


いい例が、田舎の小金持ちの床の間。


中国、台湾で買ってきた胡散臭い山水画に、北海道土産の熊の置物、ガラスケースに入った人形に、「名のあるもの」と信じている伊万里と名のは入った大皿・・・・所狭しと置きまくる床の間良くあるじゃないですか。


潔さという意味で感動したのが伊勢神宮です。


余分なものを一切廃し、経済効率や、儲けることを考えて置かれているものが何一つ無くて潔い美しさだけがありました。


西欧の豪奢と華麗を満載した教会などの美しさとは、全く違う極にある日本人が誇る美です。


建築家や芸術家を冠しなくても美しい日本の基礎を私達は持っているのです。お参りに興味はなくても伊勢神宮は見る価値があると思います。