お年始


近頃の世の中、人間関係の煩雑さからなるたけ開放されたいという傾向が強いようです。


料理屋的にはお座敷でやる新年会は15年前に比べたら遥かに減り、せめてお弁当で、という仕事始めの昼食もこの景気以来激減しています。


一昔前、新年といえば、会社の上司のお宅に「お年始」伺い、「まあ、上がって、上がって」「さあ、一杯」という具合で、おせち料理も必需品でありました。


隣保のご近所もお年始に伺い、親戚(本家)、仲人などご挨拶にいくのは当たり前、ですから、正月1日はのんびりなどしていられないものでした。


新年というのはご挨拶であったのです。


玄関にはお年賀の手拭が山積みになり、子供達は玄関先をうろうろしていれば、お年玉もワサワサ入ってきました。


私の子供の頃は、芸者衆にお年始でもらうお年玉で、普通の子供以上に懐が潤ったものです。


20世紀後半は、こうした長く続いた人間関係が一挙に崩れた時代です。


楽になったとはいえ、日本人の人間関係にとって良いものなのかどうか?どうなんでしょう。