ディナーショー
12月ともなれば、各ホテルではディナーショー
花盛りであります。
有名ホテルのクリスマス間近ともなれば、どの芸能人のディナーショーを張れるかが、ホテルの格付けにも関わりそうな雰囲気まであって驚いてしまいます。
が、
考えてみると、有名ホテルのディナーショーといったって、バブルの頃からこのせいぜい10年少々のことです。
15〜6年前、市内のホテルでナンシー・ウィルソンのディナーショーがありました。
まだ日本の芸能人などディナーショーのディの字もない頃のことです。
ジャズファンでなければナンシー・ウィルソンといってもぴんとこないかもしれませんが、ジャズ界というよりショービジネスの世界では女性歌手としては超大物、音楽的水準の高さはもちろんのこと、黒人女性としても美しさとファッションセンス(言いかたが古いネ)も兼ね備えたスーパースターの一人です。
ホイットニー・ヒューストンをもっと知的にして、品よく老けさせたって感じといえばわかっていただけるでしょうか。
そりゃもう店を休んででもいくしかない!と気張って、一張羅を着込み、年下のジャズ仲間を誘って出かけました。
ディナーショー自体が初めての経験、15年前ですから、ホテルのフレンチもかなり元気のある頃で、料理も楽しめたのですが、1時間少々のナンシーのステージは「素晴らしい!!」の一言では申し訳ないほど夢心地のひとときでありました。
何しろ、普通なら大きなステージでしか見られないナンシー・ウィルソンが、目の前で肉声が聞こえそうなくらいで歌ってくれているのですから。
ディナーショーの醍醐味です。
あれは一時の奇跡だったのでしょうか?
それからずっと、こういう大人のための大人の企画はなかなか眼にすることがありません。
こういう経験をしてしまうと、営業に香りのぷんぷんする芸能人のディナーショーなどというのはちょっと勘弁していただきたいと思ってしまうのです。