愛山

愛山 と聞いて「ああ、あの」とわかる方はかなりの日本酒好き。


酒造好適米山田錦はすっかりメジャーになり、五百万石、雄町、美山錦、八反錦となるとちょっと通気取りができる銘柄になります。


ほかにも、渡船、亀の尾(お酒になると亀の翁)、出羽燦燦、山田穂、松山三井、最近の千秋楽などなど、全部知っていたらかなりのものです。


で、
お話は愛山 。


もともとは剣菱の委託による契約栽培だったそうで、一般に知られることの少なかった酒米なのですが、米の大きさ、心白率ともに山田錦と同等かそれ以上の優秀なお米だと聞きます。


契約栽培だけに、作付け面積は山田錦の4600haに対して30haとないに等しいくらいの量しかできません。


山形の十四代は、早くからこの愛山 にラブコールを送っていて、「特吟 愛山
」「龍泉」「純米吟醸愛山 」などを発表し、愛山
を再デビューさせた特筆すべき蔵です。


そしてこの秋、磯自慢でも「愛山  中取り純米大吟醸」を出しました。


磯自慢の代表作「純米大吟醸」(通称ブルーボトル)の兵庫産山田錦と並ぶ二枚看板ができたわけです。


私ン処でも数本手に入りました。


一年で四合瓶を一本だけ、しかもかなりもったいぶって分けてもらった、磯自慢純米大吟醸を大事に大事に使っていたのがわずか数年前。


同じ静岡県なのに、この地で手に入らないという悔しさがばねになって、「意地でもラインアップを充実させてやる」と屈折した心情から、そろそろ解き放たれなくてはいけません。


でも、この期におよんで、簡単に手に張ったらいじけちゃいます。