日本語の上手なイタリア人

芸能人や政財界の著名人を贔屓筋にもつことを店の「ハク」にしているところがありますが、私ン処にとって、店のハクと思っている方は「内田盾男」さんです。


イタリア在住の車のデザイナー、「日本語の上手なイタリア人」と呼ばれほどイタリアに根付くこと長きに渡り、その一言が日本の車評論家やデザイナー達に、大きな影響力を持つその道の権威です。


内田さんが「75」(アルファ・ロメオ75という少々昔の車のことです)にずっと乗っているとおっしゃれば、私など「アルファこそ正しい車である」と思い、「久しぶりに車を156に変えた」(同じくアルファ・ロメオ)とおっしゃれば、「次は絶対156だ」と心に誓ってしまう説得力を持つ方なのです。


店に初めてお出でいただいたのは、7〜8年前。某大手自動車会社のえらい方とお見えになり「こちらはトリノ在住の有名なデザイナーさんです」と紹介されました。
「イタリアの日本人デザイナーって言うと内田盾男さんなんて方がいらっしゃいますよね」と私がいうと、
「こちらがその内田さんですよ」
「内田です。よろしく」
「!!!!!」


文章は何度も読んでいても、お顔は存じ上げず失礼なことをいきなり言ってしまったのが始まりです。


それ以来、お出でいただいたときには、お座敷でお話を伺うのがいつも楽しみです。


この方のどこにラテンが?と思うほど語り口も身だしなみもイギリス人ジェントルマンの雰囲気を持っておられ、いっしょに見えるデザイン関係の方がは皆、内田さんを師としてまたは父のように慕っています。


その内田さんに昨日久しぶりにお見えいただきました。
ピッツアの話になって、先日日記に書いたピッツエリアのことを申し上げると
「昨日行ってきました」
「あの味はイタリアに近いと言っていいんですか?」
「あそこはすごくいいですねえ」


私の舌にもお墨付きをいただいたようで嬉しいお言葉でした。