プール脇の休日

この夏初めてプールへ出かけてきました。


老体に長時間の冷たい水は禁物ですから、プールに入っているのは陽射しで火照った体を心地よく冷やしたやるためで、そのほかの時間は、ほとんどプール脇の木陰にエアマットを敷き、寝そべって昼寝か本を読むだけです。


木立を吹き抜ける風にウトウトしながら読んでいたのは「柔らかな頬」(桐野夏生


そばを通るカップルが、妖艶なイメージの赤いカバーに「柔らかな頬」と、大きく書かれているのをちらっと見ると、男性はニヤット笑って私の顔をマジマジ見るし、女性は顔を背けます。


「い、いや、ヤラシイ本じゃありませんてば」と弁解するわけにも行かず、もう開き直って、デヘヘヘ・・・とにやけた顔で見返してやりました。


桐野夏生は「OUT」以来のまだ二冊目、ハードボイルドな手応えのある文章で、ぐいぐい読み手を引き込む、力技を備えた作家であることを再認識しています。