もっと辛い山葵

「もっと辛い山葵ください」とお客さまから言われたことがあります。


粉山葵は辛いだけで香りがないことは知っていますが、もっと辛い山葵って?と思ったのですが、先日チューブ入り市販の「生山葵」みたいなやつ(商品名ですか?)を蕎麦のツユに入れて吃驚、納得。


異常ーーーーーに辛いの。


普通に入れたつもりでも辛すぎて食べられなくなってしまいました。


「もっと辛い山葵」とおっしゃった方はこれを食べつけていらっしゃるのでしょう。


本山葵はもう高級品になってしまって、一般家庭で使うことはなくなってしまいました。


初めて入ったお鮨屋さんのカウンター越しに、本山葵をすっているのを見たら、それ相当の覚悟が必要というのも、今の本山葵の価値を物語っています。


私ン処では、もちろん伊豆天城産の本山葵を使っています。(相当の覚悟は必要ではありませんが)惚れ惚れするような太さと長さの本山葵は、いい魚使ってやんなきゃ申し訳ないぞ、と思わせる品物です。


こういう山葵は辛みを楽しむ物ではなくて、香りを楽しむ物です。


お造りの上に少量を乗せて口に運ぶと、香りが口の中に広がったあとで鼻に抜けます。本山葵の良さはこれに尽きます。


ですから、面倒でなければ、いきなり山葵を醤油の小千代口に解いてしまうよりは切り身につけた方がストレートな香りが楽しめます。


逆に粉山葵でしたら、醤油で溶いてしまった方がよいでしょう。


が、
そういうことで粋、無粋を判断されてはたまりません。


自分が好きなように食べるのが一番です。