ピッツア
初めてピザを食べたのは25年前、六本木で。
まだ、そんな食い物が世の中に存在することさえ知らなかった田舎ものにとっては、衝撃的なうまさでした。
その後、宅配ものも含めてあらゆる形のピザが巷にあふれ、実は本物のナポリのピッツアはこういうものらしい、ということも朧気ながら知るようになってきました。
何年か前の雑誌ブルータスの優れたピッツア企画で、東京には本格的な石窯をもつ、本場にかなり近いピッツアまで存在するらしいこともわかったのですが、実際に今、町でピッツアとして食べられるもののほとんどは、まだまだ限りなくまがい物に近いピザで、ナポリ人が見たら頭を抱えそうな代物らしいのです。
この地でピッツアとして食べることができるものも、ガス方式の石窯がいいところで、「本物はこんなんじゃないんだろうなぁ」「ホントにうまい、本物、たべたいなぁ」と思い続けてきました。
で、
今日、ある小誌の写真で見た店に、半信半疑で出かけてきました。
写真で見る限り、かなりいい線いっていますし、石窯も薪を使うようでした。
小さな店に入ると、サービスは奥さま(?)パートナー(?)らしき美しいイタリア女性。調理場には確かに薪の石窯が置かれています。
メニューにはホンの少々のパスタと前菜以外はすべてピッツアです。
マルゲリータ、カプリチョーザ、クワトロフォルマッジ・・・・値段もあわせて、メニューを見ただけでかなり期待できそうな予感です。
そんなに立て込んでいないのをいいことに、焼いているところを見せてもらって、さらに期待は高まりました。
味は、
すばらしい!ブォーーノ!!(っていうんですか?)
ピッツアは生地を楽しむ物であることを認識しました。トマトソースと各種のチーズは調和はしていても自己主張するのは生地です。
4種類も5種類物訳の分からない具を乗せるような愚は犯していません。
トマトソースはあくまでシンプル、チーズに偽物は使わない、オリーブオイルが上品だけでなく力がある。
メニューの片隅に「あえて日本人向きには作っていません」などと書かれていますが、こんなウマイものにその言葉は必要ありません。
「日本人向き」=「偽物」というのは一枚のシンプルなマルゲリータを食べるだけでわかります。
ドルチェもシンプル。
ティラミス、パンナコッタ、ジェラート。おなかな一杯でも追加に全部注文して、マダムに笑われてしまいました。
最後のエスプレッソも、久しぶりに味わうホントのエスプレッソで、満足の三乗でありました。
この地では、しばらくこの店以外ではピッツアは食べません。
中華でも、フレンチでも、イタリアンでも「日本人向け」=「最悪の偽物」であることにまだ気づかない日本人はどうかしています。
途中で通りかかるファミリー レストランは順番待ちなのに、こんなウマイもの作っている店は席がすぐ取れる。
民度の低さを象徴しています。
アア!