食べる人Ⅱ

昨日のお話を見て、「そのくらいの予約、当たり前ジャン」とか「予約の時点でいろいろな要求はしていいものか」などと思われた方がいらっしゃるかもしれません。


ここで重要なのは、店の力を100%発揮していただくために、よりよいお客であることであって、予約の時点から大きく関わってきます。


父ちゃん母ちゃんのこじんまりした店で、献立以外の希望を予約でいきなりするのは、ほとんど嫌がらせです。もうそれだけで上客への道は閉ざされます。


予約の時、お客としての要望をどこまで言えるかは、店の規模、調理長の技量、調理場の体制などによります。


板前であれば、その辺もかなり見えますので、要望のさじ加減も可能になるわけで、調理長や店主の心をくすぐる程度、決して面倒くさい客にならないくらいの要望は出します。これは、いわば高等技術、真似はとりあえずやめましょう。


で、
予約後、前日もしくは当日の予約確認をします。


当日は必ず予約の時間を厳守することです。店では、予約の時間にあわせてお客様のためにすることがたくさんあります。お待ちしている時間にお客さまが現れることは、うまいものを食べるためにかなり大事です。


人数の変更は最低限前日までにしましょう。当日キャンセルは以ての外です。店によってはキャンセル料も取られることは覚悟しましょう。


TPOにあわせた服装も大事です。特に高級フレンチでは、お客さま一人一人がダイニングの雰囲気を創り上げるものです。男性のジャケットの着用は当然、女性もドレスアップを忘れずに。日本料理店でも服装でお客さまの値踏みはしませんが、いかにもみすぼらしい恰好の方に、いいお値段のお酒も勧めにくいものです。(これが予想はずれになることが多いのですが)


今日のお話も、当たり前すぎるほど当たり前なのですが、あえて申し上げるのは、そうでない方もたくさんいらっしゃるからなのです。


まだ料理さえ目の前にしていないのに、上客への前提条件が多すぎるかもしれません。


これらの前提条件さえ無視するお客さまでも、気持ちよく「うまかった」と思わせるのが、名店の条件。というのはひどく逆説的でしょうか・・・・


明日も続く。