パスタの見識
地方のグルメ番組でパスタを食べさせる店を何軒か取り上げていました。
カルボナラーニにかつおダシを隠し味として入れる店
そのカルボナーラに粗挽きの胡椒の他にイタリアンパセリ(?)のようなものをのせる店
海の幸をのクリームソース 生クリームのベースに卵の黄身を入れる店
ボンゴレソースのコクを出したいと別にアサリとブーケガルニでソースを取り、蛤を加えることを売りにする店
新鮮な海の幸の・・・といいながら値段とその素材を見れば、冷凍のスカンピ、養殖の鯛だったりする店
トマトソースにパンチェッタを少々入れることを売りにしながら、即席でソースをつくる店
紹介されたほとんどの店が、若いシェフ、オーナーシェフがフライパンを持っていました。
日本人が作る日本人のためのパスタだからこれでいいのでしょうか。
カルボナーラにかつおダシや粗挽き胡椒以外のものをのせるのはどうでしょう。
クリームソースにコクを出したいのならしっかり煮詰めるのが本筋です。卵の黄身は入れません。
ボンゴレのソースにコクを出すのもソースを煮詰めること、アサリが上質ならワインでなくて水の方がいいくらいだし、蛤の必要など全くないはずです。
値段を見れば、素人だって天然の生、でないことはわかります。「新鮮な」を売りにするのはやめにした方がいいのではないでしょうか。
パンチェッタをいれる前に、トマトの質としっかりと煮込む時間を惜しむのでしょうか
作り手が物事の本質を知らないだけ?
ただでさえ異国の料理を生業にするのに、半端なアレンジ以前にその料理の本道を味わってみることがなかったのでしょうか。
ブオッシナージ氏のレシピに、正しい素材を使うだけで、本当のパスタのおいしさが見えてきてきます。間違っても「マヨネーズ入りみそ汁」みたいな献立に走る必要はなくなると思います。
イタリアへ行ったことさえない板前でさえ「なんか変」と思うくらいですから、イタリアのマンマがみたら卒倒するかもしれません。
たとえば、アルポルトの片岡さん、マリーエの小林さん、マンジャペッツエの日高さん。名だたるイタリアンのシェフは本質を知った上で絶妙のアレンジを加え、決してイタリアからはずれることがありません。
日本料理からよく外れてしまう板前風情が声を大にして言えることではありませんが・・・・(自戒)
ただ、外れるということと、見識を持つということは表裏一体です。
今考えると、冷や汗が出るような経験をいっぱいしている(今もしている?)私が言うんですから間違いありません。