近頃の若いモン


近頃の若いモンは・・・という言い方はなるべくしないようにしています。


いつの時代も若い世代は「近頃の若いモンは」と言われ続けてきています。


私の修業時代は、先輩より30分は早く出勤して段取りを済ませるようにしていました。


今、私ン処では私が若い者の一時間半前には仕事を始めるのが通常です。


同じく、修業時代には最後に調理場の鍵を掛けるのは私たち新人でした。


今、若い者が帰った後、私の場合いつも一〜二時間は仕事をしています。


若いモンの倍は本を読み、3倍は集中して音楽に耳を傾け、4倍は旨いものを食べに出かけ、5倍は各種のお酒の試飲をしているかもしれません。(ただの喰い意地の張った飲み助じゃん)


近頃の若いモンは・・・とは口には出さないけれど、(出してる! 出してる!)今更連中ががんばったって少々のことでは負ける気はしません。(年寄りの冷や水ともいいます)


が、
やはりひとくくりに「近頃の若い者」というのは間違いで、少々前5年ほど私ン処で修行していた若者の例があります。


5年間ずっと誰よりも早く調理場に出て、休憩時間中も工夫を凝らしたお総菜に熱中し、私の本棚から「あれも、これも」と料理本を借り、教えたことを人より倍早く覚えました。


他の板前の3倍は早く上達しても不思議ではありません。


これで、気だてが良いのですから、教え甲斐もあります。


彼女はブラジル出身の日系二世。古典的なご両親に育てられた彼女は、近頃の女の子より(また言ってしまった)ずっと「恥じらい」を知っていました。