京谷弘司さん


高校生のころのこと、クラスメイトがタンゴを聴き始めたと言うではありませんか。


何と奇特な


「歳とってもずっと聴き続けられる音楽を見つけたいと思って・・・」と聞くにつけ、口には出さないものの「なんとおジンくさい」と思ったものです。当時は若者の音楽といえばロック、フォーク。小洒落たヤツはたいがい洋楽に走っていました。


私などさらに洒落臭い、ヤラシイ、虫酸が走るような小生意気なヤツで、ロック=なんて下品音楽、フォーク=単純な知性のかけらもない音造り(今はすっかり改心してますよ)などと頭から決めつけていましたから、タンゴなど一生聞くことはないと思っていたのでした。


で、すっかり心改めた昨今、
所属するある会の「スプリング コンサート」でお呼びしたタンゴ奏者の京谷弘司さん。


お名前は聞いたことあるものの、生で音を聞くのは初めてでした。予算の関係でカルテットで呼べず、バンドネオン ピアノのデュオでの演奏でした。


デュオでは表現できないほどのパワーとうねるようなビート感。


生ならでは、ではなくて、たとえ生ではなくても本物だけがもつ迫力に圧倒される演奏でした。


演奏後、控え室に伺いました。(企画と司会を担当していたため)


感動をストレートにお伝えすると、そんなに喜んでいただけたならと自らのCDをくださいました。


帰宅後、CDで聞いてさらに驚きました。カルテットでの演奏はさらに完成度が高く、「日本人が演奏するタンゴ」ではなくて、「日本から発せられるタンゴ」でありました。アルバムの充実ぶりは、利潤の追求を基本にするメジャー路線の日本の音楽界では作られない内容です。


このようにすぐれた演奏家が一部のタンゴファンだけのものであってはいけません。


ご興味のある方はhttp://www.moonfactory.co.jp/tango/奥さまが作るホームページをご覧になってみては。ピアソラだけがタンゴじゃありません。