お手本
その店にうかがうのは久しぶりでした。
値段的にも内容的にも私ン処と同程度、もしくはそれ以上の、ちょうどお手本にさせていただくような店は、残念ながら近隣にたくさんはありません。
その店は建物やサービス陣の若々しさは、私ン処とは比べものにならないほど素晴らしい店なのですが、昼食の値段設定はほぼ同程度。料理の内容は和を中心に洋.中にとらわれない柔軟な献立でした。
前菜 抹茶豆腐
新もずく 新じゅんさいを添えて
春鱒薫製 春野菜 ドレッシングで
刺身 鰹 山葵加減酢
鮪 めかぶとろろ
魚料理 黒鯛 帆立 巻海老 プロバンス風
肉料理 牛肉 山葵おろし
ご飯 桜海老ご飯 赤だし
漬け物 沢庵 きく芋みそ漬け
デザート ほうじ茶のアイスクリーム 抹茶のババロア 苺
コーヒー
で¥8000
献立だけ見ると「え!¥8000でこんな品数?」と思いがちですが、素材と一皿のポーションを考えればまったく納得の内容でした。
献立の構成は日本料理にベースがあるようでいて、フレンチのテイストがずいぶん盛り込まれている良い組み立てです。日本料理だけにこだわっていると、椀もの、炊き合わせものが欲しくなってしまったり、「メインディッシュはいつ来るんだ?」というような、盛り上がりのない流れになりがちなのをうまくクリアしています。
お料理のペースや飲み物の充実ぶり、サービスの初々しさにも好感が持てて良い勉強が出来ました。
フレンチ イタリアンの高級店や日本料理でも超高級店に伺うと「勉強」などとは微塵も思わず、ひたすら食事を楽しんでいても、私ン処とレベルが近いお店ではつい仕事を思い浮かべてしまいます。この辺の所で人気のある店の努力は見事なもので、刺激を受けることが多いものです。
今回も値段の半分はお勉強代でありました。