いい本 おもしろい本


音楽のことはこれがいい、あれがいいと自分勝手を日記に並べたてているのに本のことはあまり書くことがありません。


読んで感動したり、おもしろかったりする本を紹介できるほどの文章力がないことに加え、音楽や絵画以上に本の好みの多様性を実感しているからです。


本から得た感動を人と共有するというのは本当に難しい。


たとえば、大好きな作家開高健さんが数々のエッセイで絶賛するサルトルの「嘔吐」やジョン リードの「世界を揺るがした十日間」など何回読んでも途中で挫折しています。


開高さんと親しかった谷沢永一さんとお話しする機会があったとき思わず聞いてしまいました。
「開高さんのいう嘔吐の良さってどんなモンなんでしょうか。ちっともわからないのですが・・・」
「あんなもん、開高のその時の心情にピッタリきただけです。おもしろくない人にはおもしろくない、本なんてそんなモンです」


世に知られる読書家、評論家に恥ずかしい質問でしたが、谷沢さんくらいの方こうおっしゃるならと大きな気持ちで本を選ぶことができるというものです。


誰もが認める青春の一冊、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を若いころ読んでもふーーんくらいにしか思えななったり、ダン シモンズの「ハイペリオン」を手にとってもなかなか読み進めないでSFファンに顔向けできなかったりするのですが、そのうちおもしろいと思うときがきたとき読むしかないようです。


が、この辺の名著といわれるものがわからないってのは、かなり重症の読書力欠如なのかも?