私ン処のこと??

手に入らない酒ばかり集めて売っている。そういう酒だけでお客が来ると思いこんでいる。だから、お客様へのおもしろさの提案がない店で、行っても店が楽しくない、お酒が楽しくない。そういう店にかぎって酒が高いし、品質がバラバラ。料理まで不安になっちゃって、お客様が来ていない。店に行く理由の少ない店。心の信用がない。


ある酒屋さんのホームページで見た文章です。


えっ??私ン処のこと???


手に入りにくいお酒を多く持っていることは事実です。


そんなお酒だけでお客様が来るとは全く思っていませんし、お酒が高いこともないはずだし、料理に不安はないし、お客様もおかげと来てくださっています。


お客様へのおもしろさの提案、行って楽しい、お酒が楽しい・・・・これはわかんない、お客様に聞かないと。私ン処は大丈夫でしょうか???


確かに幻クラスのお酒を集めて、幻故に高く売るというのではお客様はすぐ来なくなります。


どんなに手に入らないお酒と言ったってたかがお酒、ほしい、ほしい、飲んでみたい、味わってみたいと思って地道に探せば大概なんとかなるものです。そのお酒がホントに美味しいかどうか、自分の店のラインアップにしっかりはまるかを見極める能力の方が大事です。


ただ、「この酒、〇〇酒店で〇〇〇円で売ってるやつね」とお客様にばればれなのは私にとってはかなりつらい。それなら、お客様が自分で買ってくる方が確実に安いのですから。


酒のリストをながめて酒屋さんが特定できるのもつらい。一つの酒屋さんにまかせっきりになれるほど今の日本酒の状況は甘くはないから。


それに、手に入らないから無理しても集めるというよりは、旨くて人気があるから手に入りにくい、原価に見合わないほど手間をかけているから量が少ない、たくさんは作れないのです。


たとえば黒龍、しずく、二左衛門、石田屋、誰が飲んでもうまい。
たとえば初亀 亀、斗瓶大吟醸1996、やっぱり遠方から見えた方には静岡県のお酒として飲んでもらいたい。
たとえば十四代、コストパーフォーマンスがムチャクチャ高いし、こういう芳醇なお酒はなかなかない。
たとえば綿屋、斗瓶大吟醸は極端に量が少ないけれど綿屋を評価するには一度は飲んでいただきたい。
たとえば正雪、純米吟醸クラスも悪くはないけれど斗瓶大吟醸の切れと香りはそれ以下のお酒を迫力で圧倒している。
たとえば天狗舞、中三郎、真精純米大吟醸はそれ以前の天狗舞と一線を画している。


各蔵のしずく取り、斗瓶囲いを使いたいと思うのはやっぱり、うますぎるほどうまいから、蔵元と杜氏さんの気合いとパワーをもろに感じられるからです。


そんなうまい酒では料理が死んでしまうとか、料理に見合わないという考えもありますが、そういううまい酒がイヤな方には普通の邪魔にならないお酒も用意してます。


料理に力を入れれば入れるだけお酒にも同じように力を入れたいと思うのです。


でも、酒屋さんの言葉は大事に肝に銘じておきます。