寿司屋に子供はいけないか?


寿司屋さんのカウンターに子供を連れてくるのはいかがなものか?
とおっしゃる方は多くいます。
確かに名店といわれる店のカウンターは、ご主人とお客様が作り出すステージのようなものでファミリーレストランのようなつもりで入るご家族には荷が重すぎるかもしれません。


以前にも書いたすでに亡くなられた名古屋名店「ほかけ」でのこと。
何回かみかけた若いご夫婦が小さいお子さんを連れてみえていました。


「ほかけ」の格からいくと、とてもお子さん連れは考えにくい場所なのですが、このご夫婦は一見ではもちろんなく、見るからに素性のしっかりした感じでした。
お子さん達も小さいながら騒ぐこともなく実に行儀良く食べています。
さらに、込み合う時間を避け、お客は私たちともう一組にこのご家族だけ。


「ほかけ」のご主人も手慣れたものでまず子供達に卵焼きを小さく切って並べ、普通よりかなり小ぶりの鮪、海老などを握っておいて、お茶もとてもぬるくしたものを出していました。子供達がある程度満足したところで「さあ、お父さん達のばん。」とおっしゃって若いご夫婦の分を握り始めました。


端で見ていても大変気持ちよい召し上がり方で、酒を飲みながらつまみだけで大声で話す酔っぱらいよりずっと場所柄をわきまえたご家族でした。


こんな風景を見ると「カウンターに子供は・・・」の論も一概に肯定ばかりはできなくなります。


要は店のご主人とお客様の信頼関係とお子さんを連れてみえようとするご夫婦の見識次第なのだと思います。


同席していたもう一組の老夫婦のご主人が、一度タバコをもってすっと席を立ちました。
後でうかがうと「子供にタバコの煙はいけないと思ってね・・・」
この方さる一部上場の大企業の社長さんです。


客筋がいいっていうのはこういう店を言うんですね。