美人は損


寺井尚子さんというジャズバイオリン奏者を最近ちょくちょくTVで目にします。
絶世のというほどではないのでしょうがかなりの美人です。


ジャズの世界では「美人・・・」といえば露出するのはヴォーカリストがほとんどでしたからめずらしい存在です。


で、ジャズやクラシック音楽の世界では美しさを頑なに評価のポイントにしません。かえって「美人=へた」などという先入観を持っているのではないかと思われるほどです。
「私など才能が天から与えられるように磨き抜かれた容姿もポイントにしたい!」と下品きわまりないのですがそんなことはさておき、前述の寺井尚子さんも美しさ故のTV露出という感があります。
むろん「へた」ではありませんが、FMなどで映像抜きで聞きたいかといえば、演奏だけで「おお!」と大向こうを唸らせるほどではないように思えます。きっと彼女自身も扱われ方に戸惑いがあるのではないでしょうか。


タンゴで小松亮太(字が違うかもしれません)というバンドネオン奏者がFMにでていたとき、演奏云々より聞く力というのでしょうか、たくさんの奏者を聞いていてそれを評価できる耳がすごいことに驚いたことがあります。彼なら、きっと「自分がすごい」などとは思わず、世界の高い壁を充分知っているだろなと思いました。ですからTVの「和製ピアソラ」のような扱いに一歩置きたい考えるはずです。


寺井さんが自分の実力とTVでの扱いをどのように思っているかは定かではありませんが、TVの場合「美人」ということだけで頻繁に取り上げられ、ジャズに興味のない人まで巻き込んで「おもちゃ」にします。TVのおもちゃになることで得ることは音楽家としてはほとんどありません。


料理店や料理人もいっしょです。おもちゃになって儲けることができる人もいますが、多くの場合「旨い!」はどこかへいってしまいます。本人の実力がある場合でも「おもちゃ」である場合は関係ありません。TVにとってはそんなときには「旨い!」は関係ないわけですから。


寺井尚子さんも「音楽家」として成功しようとするならば、TVには気をつけなければいけないのでしょう。美しくなくて音だけで脚光をあびることができるとすれば「美人」は足かせになるかもしれません。


美人は損です。