学生さんお断り・・・


あるお寿司屋さんのお話です。


あるお若い方が店に見えたそうです。
「学生さん?」とたずねると「はい」とお答えになりました。
「誠に申し訳ないんだけどね。うちは学生さんにはお鮨はお出ししたくないという方針なんだよね」



だいたい学生さんは親の援助で学校へ行っている。親のためにも少しでも出費を減らして負担を軽くしてあげたほうがよい。まだこれから先にたっぷり時間があるのだから、自分でお金を稼いで、自分の口に入れて食べたいものと自分の財布から出すお金、そういうもののバランスがわかるようになってから来てもらいたい。


ということなのだそうです。


この学生さん卒業後ご両親を連れてお見えになったとか。


もうご自身は引退なさっていますが、私でも名前を知っているほどの小さいながら超有名店の親方の語ったお話です。


いろんな考え方のお店があるものです。


ご自身の店で、りっぱな仕事をたゆまくなさった親方ですから私など何も言えませんが、とてもこんな風な商売はできません。


私ン処を選んで来てくださるお客様はすべて大事なお客様です。老若男女を問わず。お金の有無を問わず。


ですから、お客様がお帰りの時には必ず玄関から店先までお見送りにでるようにしています。出るようにしていると言うよりは「有り難い」の思いが自然にお見送りという形になります。できることなら姿が見えなくなるまでお見送りしたいものです。


お帰りの時のお客様の様子でお気に召したかどうかおおよそはわかります。
お見送りは大事な仕事の一つです。