せいこ蟹

せいこ蟹というのは北陸のずわい蟹の雌
りっぱな大きさが重宝がられる雄と違い
せいこ蟹は手の平より少し大きいくらいです。
茹でたり蒸したものを丸ごと出されても身をほじりだしているだけで
イライラしそうなサイズなのですが
身はしっとりしていますし、
何より今の時期は子をたっぷり持っていてそれがおいしい。


もちろん私ン処で茹でただけのものを出すことはありません。
身と子をきれいにせせり
小松菜の葉っぱの部分でくるみます。
竹皮をひも状にしたもので縛って
ふんわり出汁で焚いたものを海老芋と並べて召し上がっていただきます。
海老芋は豊岡村から大きな袋で仕入れるもの
単純な芋の焚いたのでも
最初から最後まで気を抜けない一品です。


食べれば一口のせいこ蟹の小松菜包みも
調理場スタッフの地味ーーーな仕事でできあがります。
お客様にはそんな手間暇をいちいちお伝えすることは何のですが
肩こりいっそうひどくなりそうな「身せせり作業」と
小松菜の葉っぱを一枚一枚並べて丁寧に包む研究所みたいな仕事をしていると
この苦労を
伝えたーーーーーいという欲求にかられます。


ホームページでしゃべってりゃ大声で言ったも同然
奥ゆかしくないですね。