恥ずかしい外国語


外国語、主に英語の歌を日本人が歌ったとき
もしくは英語の歌詞が混じっているとき
ほとんど英語を理解するという段階にはない私でさえ
顔を赤らめてしまうほどすごい発音のたくさん歌手がいます。


英米の歌手の曲を原曲で歌った時など、きっとNativeに英語をしゃべる人が聞いたら
「ワターークシワ アナタニ コエスル」(I love you)
極端に言えばこんな風に聞こえるんではないかと想像したりしていました。


ところが、しばらく前に聞いた
ジョアン ジルベルトが英語で歌った「スワンダフル」にひっくり返ってしまいました。
とんでもなく変な発音なのに
かっこいい。
とても説得力のあるしみじみした歌いっぷりにじんわり感動しました。


要は発音が正確であるとか、音程が良いとか
で人々は心を動かされないのでした。


一方でフィッシャー ディースカウがシューベルトの指導をするという番組を見たときのこと
生徒は私の目から見れば
日本ならいつでもプロと言えるほどのクラスの若い男女
当然のように全員ドイツ語を理解し、歌えるというハイレベルな講座なのですが
そこではF.ディースカウは歌詞のひとフレーズ 一言をどう解釈するか
そのためにはどういうニュアンスが必要か
シューベルト研究の世界的権威者でもある一面を見事に見せてくれていました。
ここまで深く「歌」を歌うことに打ち込むとすると
「冬の旅」なんて何年かかってものにするんだろうと
頭がクラクラしてしまいました。


また、もう一方で美空ひばりの歌うスタンダードナンバー
有名な「スターダスト」の歌唱など
歌詞を理解するなんてことは・・・あったかもしれないけれど
耳で聞いて覚えた英語の歌詞なのに
どんな日本人ジャズ歌手よりもすごい。間違いなくすごい!
とてつもなく良い耳をしています。


とすると恥ずかしい外国語なんてなくて
「恥ずかしい歌手」がいただけなんでした。