芸者遊び


「あんたのお父さん、芸者遊び上手だったなあ」
父の友人にいわれたことがあります。


もちろん料理屋の親父が芸者をかこうわけはありませんし、
父と一緒に遊んだ(お座敷で)ことはありませんので様子は分からないながら
お座敷遊びを楽しむ達人ではあったようです。


さて、その息子はというと(私のこと)
からっきしだめ。


小さい頃には出入りの芸者衆にお年玉もらったり
美少年跡取り息子として(???)かわいがられたんですが
今では「芸無し」「朴念仁」で達人にはほど遠い存在です。
もっとも、我々料理屋の親父でさえ芸者衆を呼ぶお座敷が少なくなっています。
これから、若い世代にはどんどん遠い世界になっていくのは間違いありません。


昔、浅草で新内(しんない)を聴きながら芸者衆と遊んだことがあります。
場所は「一直」
祖父が大正時代に修業していたことがあるという店です。


2〜3時間の間きれいどころが次から次へ
5人のお客に対してのべ15人位の芸者衆が入れ替わり立ち替わりお相手をしてくれ
しかも、20歳〜50歳位まで
どの子をとっても銀座あたりのチーママなどすぐできそうな子ばかり
しかも、我々の仲間に
小さい頃から踊りを習っていて
「次ぎ歌右衛門さんの真似ね」なんて踊ちゃう芸達者もいたもんだから、
盛り上がること盛り上がること
「芸無し」「朴念仁」も心底楽しませていただきました。
こりゃはまります。
授業料も高くつきそうですが
こういうのをお遊びっていうんでしょうか。


端唄の一つも習ってみようかと思ったものでした。
近所の小路に小股の切れ上がった長唄のお師匠さんでもいりゃーーー。