越の寒梅は二級がうまい???


越乃寒梅は確かにいい日本酒です。
一時代を築いた銘酒であることは間違いないでしょう。


しかし、
良きにつけ悪しきにつけこれほど多く語られた日本酒も少ないでしょうし、
それが故にまがいものが出回ったり、
ディスカウンターで可哀想な扱いを受けているのでしょう。
(温度管理もされず、プレミアム価格で売られる)


一度でも口にした方は
「切れ味が良くてうまい」とおっしゃるか
「水みたいでうまくない」とおっしゃる方のまっぷたつに分かれます。
中には「寒梅は二級が一番うまい」という訳の分からないことまで。
気持ちは理解できるのですが。


越乃寒梅にはざっと言っただけで
普通酒から、別撰、金無垢、大吟醸
値段もピンきり、味もそれなりに違うクラスがあるわけでして
どれをとらえて寒梅を判断するか、
ましてや新潟以外で、正規ルートの寒梅がどのクラスも簡単に手に入る店は皆無。
ご進物で値段もわからずいただいて、
うまいうまくないは言ったら失礼。などと私は思うのですがいかがでしょう。


一度金無垢や大吟醸を飲んでいただければ
、蔵元の気迫を感じることは間違いないと思います。


しかし、この新潟酒全盛の時代ももう昔の話。
淡麗辛口だけが日本酒の良さではありません。
一般には「辛口」信奉が蔓延していますが、
すでに「甘口」「辛口」だけで日本酒を判断する時代も終わりつつあると思っています。


たとえば「十四代」。
最初の飲み口で広がる高い香りといい甘さ。
でも、甘さはさっと切れてくれて、やっぱり辛口の範疇に入る日本酒です。
最初の「甘い」だけの印象でとらえてしまうと
甘さだけでは語れない「こく」「深み」を感じることはできなくなってしまいます。


もっとも
淡麗辛口だけで料理の最初から最後まで通してしまえば、実はラクチン。
久保田「万寿」あたりですべてOK。ってなってしまうのですが、


でもそれじゃおもしろくない。
こんなに一生懸命な良い蔵が続々現れているのに、味あわない手はありません。
蔵のがんばりに感化され、大いに刺激を受けています。


まずは、「甘い」って否定的な言葉で日本酒を判断しないところから。
それだけで、すばらしい世界が広がっていきます。