あふれるような才能ーーーはない!
もう8月
うーん、うーん唸って考えてるのに新献立がまとまらない。
毎月その繰り返し。
料理の鉄人に出てくるような自信に満々の、あふれるような才能がうらやましい。
「どうだ!俺の料理食べて見ろ!」
なんて強気になったことなんて一度もない。
「どうでしょう?お口に合いますでしょうか?」
謙虚に、ではなく、いつもハラハラ、本気でそう思っている。
私ン処はコースの料理だけなので、バランスがとても大事。
一品の自信作ではなくて、トータルに満足していただくためには
いろんなことがシステマティックに絡み合ってくる。
前菜にこういう味の組み合わせがあると、椀、造りはどうするか。
造りのつまは8月にはどうするか。白身との相性はどうか。
この白身にはホントに山葵でいいのか。
煮物がこういう料理法であれば焼き物は?
あしらいにはなにを持ってくるべきか。
一つ素材が変わると、他の料理も変える必要も出てくる。
七転八倒でできあがった献立が、案外シンプルすぎて面白みがなかったり、
考えすぎてこねくり回したひどい献立になっていたり
一回お客さまに出してすぐボツになったり。
これ、完璧!と密かに自信があっても
お客さまが一切れ残しただけであっと言う間に自信がぐらぐらしたり。
うーーーん、神様、私にホンのちょっとの才能を!