ピッカ ピッカの
倉庫の奥でこのお椀を見つけたときは「やった!」と思いました。
表は沈金を使った蘭。内側は蓋にも本体にもあでやかな菊の模様があります。
もちろん輪島です。
店を全面的に建て直した3年前のことです。
75年も商売をしているのに、私ン処は「お宝」にはまったく無縁の店です。
そこそこの器、そこそこのお軸。
祖父は、まっ、いいものを集めた方ですが、父はむやみに高いものが大嫌いでした。
時代も昭和30年代から50年代、大量消費の時代。
塗りも輪島より木曽、山中でした。
父は祖父のやり方を利益率で超えようとし、
私は父のやり方を品質と付加価値で越えようとする。
埃をかぶって出てきた祖父の頃の輪島。
残念ながらそのまま使うにはだいぶ痛んでいました。
輪島の出入り業者に塗り直しを頼んで、試作ができあがってきたのが昨日。
ピッカピッカ。
全く新品同様
塗り直し賃\18000也。
出てきた20個全部直すとーーーー。
そこそこの器買えちゃう。
でも、同じもの今作れば\80000-\100000
(もちろん1客の値段)
塗り替えをきっちとすれば何十年も使える塗り物って考えてみれば安い。
こうして使えるのはやっぱり輪島だけ。