茄子 茄子 茄子...もういらない


子供の頃、いちいち「旬」なんて言いませんでした。
だって野菜などは露地物が当たり前で、夏には夏のものしかなかったのですから


夏になると「茄子」「胡瓜」
もう毎日「茄子」「胡瓜」「茄子」「茄子」「胡瓜」「「茄子」「茄子」「茄子」
もう茄子なんて見たくない、って思ったもんです。


といった舌が乾かぬ内に


今は茄子がうまいです。
といっても「うち」で使うのは水茄子 賀茂茄子
水茄子は和泉 賀茂茄子は京都がいいです。


京都の賀茂茄子といっても、ホントの賀茂近辺で栽培されるものは極端に量が少なくて
ほとんど手に入りません。
使うのは賀茂の、ではなく京都の、なのですが
それでも奈良や高知の丸茄子とは身質も味も違うものです。


水茄子はやっぱり和泉。
新潟の方にもうまいのがあるそうですが、まだ見たことがありません。


などと生意気を言っていますが
塩でもんだだけの水茄子を使い始めたのは今年になってから。
おいしさがわからなかったのです。
料理人のくせにーーーとお思いでしょうが、
自分でうまいなあーーと思わないと使えないもんです。
今は自信を持って出せます。
生で食べるときのリンゴを感じさせるようなジューシーさが理解できるようになりました。
ホントに鈍い板前です。


こういった水茄子 賀茂茄子のたぐいは最近まで容易に手に入れることができないものでした
同じように入手困難なものに「蒲郡のトマト」があります。
蒲郡のというよりは、蒲郡のさる方が作るトマトなのですが、
これが、イチゴを濃縮させたようなうまさのあるトマトです。
一年に二箱か三箱。大事に使います。
これを召し上がったお客様が
「昔のトマトの味がする」ておっしゃいましたが
私は「昔のトマトはまずかった」という思いしかなく
心の内で「へーーー」
口にはだせませんが。