こだわりって恥ずかしい


「こだわりの◯◯」
よく耳にする言葉です。


職人系の業種に使われることが特に多いでしょうか。
ラーメンやさんで「スープにはこだわってます」
寿司屋さんで「しゃりにはこだわってます」
よくありがちです。
じゃ、スープ以外は適当なわけ?
しゃりはよくてもネタは冷凍中心?


んなわけないですよね。


いい店。
私などが目標にしたい店、通いたい店で
こだわりって言葉は、少なくともそこのご主人から聞いたこことありません。


ひとつのファクターにだけ集中して(こだわって)
おいしいものできたら、そりゃ素人でもできるって世界です。


ぜーんぶです。
ぜーんぶにしつこいくらいの集中力を発揮してこそおいしいものってできるはずです。
というより、一つ一つに手抜きをしない地道な積み重ねをして
やっと何とか格好がつく
のかもしれません。


「こだわり」ってきいただけで、なーんか恥ずかしい。
「私、素人に毛の生えた程度です」っていってるような気がするのって私だけ?


で、
塩の話
(恥ずかしいかも?)
塩の専売制度が無くなったおかげで、いい塩が手に入ってくるようになってきました。


お客様に、ここの塩使ってます。
ってお話をさせていただくことはあまりないのですが、
味を決める大事なファクターに贅沢ができるようになったおかげで楽しい思いをしています。


十五年前だったら塩といえば専売公社の塩だけだったのですが、
(超高級店では違ったようです)
今、うちでは、4種類の塩を使用しています。
魚、野菜の基本的な味付けには「大島の塩」
肉系統には「ゲランドの塩」
(中トロをあぶったりしたのにはゲランドの方がいいみたい)
多量に必要なものには「伯方の塩
漬け物には「玄海地島の塩」


そこに、新登場
「小笠原の塩」
お得意さまのYさんのお土産でいただきました。
粒子がすごく大きくてゲランドとはちがったミネラル分とうまみがある。
大島といい小笠原といい
本土から離れるほどいい塩があるって今の環境問題も象徴してるかもしれません。


これから吸い地(煮物椀のつゆ)の味付けは「小笠原の塩」になります。
もう二週間使ってみて、これ決定。
10kg送ってもらうようにしました。


お客様から「いい塩使ってるねえ。どこの?」
なんて聞かれることは100%ないのですが、大事な積み重ねのうちの一つです。
この積み重ねが何十も加わってやっと
「うまいねー」
って聞けるかも?