入れない国アメリカ


トランプ大統領就任後、7カ国に対して入国禁止の大統領令が出たことが大きな話題になりました。


一般的な日本人がアメリカに行くとなれば、観光または商用で、ビザも旅行代理店任せ庶務課任せですんなりと通るものかと思います。だいたい観光で出かけるためにビザで苦労することがないというのが、世界的に見ても日本という国の信用度の高さを誇るものなのだそうです。


ところがアメリカも時によってはやっぱり入国が難しい国であるというのを実感したことがあります。


大昔の話なので、今現在が同様であるとは思えませんが、まっ、聞いてください。



1980年、大阪修行を終えて実家に戻る前に、アメリカ貧乏旅行をしたことは以前にもお話をしたことがあります。


若いからできたアメリカ周遊バックパックの旅であったのですが、旅行するにあたり、まずはあちらの語学学校でヨタヨタの中学英語をなんとかしようと思い、最初の一〜二ヶ月学校に入学しました。


当時のことなので、入学のための手続きも渡航の飛行機も学生ビザも全て自分でやりくりしなくてはなりませんでした。40年前、代行なんてしてくれるシステムはまだない時代です。


中でも学生ビザの取得のためには、入学許可書類、往復のチケット、ドル建ての銀行の証明書、アメリカでの身元保証をしてくれる人を明らかにする手紙そのほかの書類などなどを持って、アメリカ大使館まで出かける必要がありました。アメリカに到着してもちゃんと学問をして、帰ってくるチケットとあちらで生活する資金があることを証明しなければビザをもらえなかったのです。


とは言っても、それらの書類が全て揃っていれば、ビザ自体は問題なく一日で取れました。


渡航後、ちゃんと語学学校にも行き、さて、グレイハンドのアメリカ周遊チケットを持って旅行という段になって、サンフランシスコのお役所に学生ビザの切り替えの手続きをして旅行に旅立ったわけです。切り替えの手続きは申し込んだのですが、実際に受け取るには時間がかかると言われ「その間に旅行していても大丈夫?」との質問にも"No Problem"の答えをもらっていて安心して旅行していたわけです。


西海岸を北上し、一旦シアトルからカナダ バンクーバーで楽しい時間を過ごした後、バスでアメリカに再入国しようとした時です。


国境でパスポート ビザを見た検査官が「このビザでは切り替えができていないので入国できない。一度バンクーバーに戻って観光ビザを取り直さなけれだめ」とにべもありません。時間は夕刻、この時間からバスで戻ることもできず、ここで野宿か??という時、期限切れになったものの、一応バックに入れてあった前のパスポートの存在を思い出しました。そこには、以前にアメリカ旅行した時にとったビザが残っていたかも。。。。


再び列に並んで差し出した期限切れのパスポートを見せると、そこに押してあったスタンプを見た検査官が「なぁんだ、あるじゃないか」と今度はすんなり通してくれたのです。


そんな事態にならなければ、ビザの有効性なんて気に留めることはないのですね。パスポートとビザの違いもはっきりと認識していないというお粗末。


旅行代理店まかせでは味わうことのないハラハラを体験し、少し旅慣れたつもりになった出来事でした。日本だけ生活し、観光の旅行だけしか経験がないと国籍とか入国とかを実感することってないんですよねぇ。