お節料理


今年もそろそろお節料理の仕込みに入ります。


この地では私の店が料理店販売の最初の店であったと祖父から聞いてきました。


以来、祖父から父 父から私へとうけついている料理 変革している料理様々なのですが、変わらないのはすべて自分で作るってこと。


「手作り」という名の安っぽさでかたづけたくない「手仕事」だけが誇りです。



若い方はご存じないかもしれませんが、クリスマスケーキのほとんどは夏過ぎから作られた冷凍食品です(もちろんきちんと作っている店もありますが)。お節料理も例外ではなく、大手が大々的に売り、「通販○○ 売上第一位」などという料理は間違いなく冷凍お節なのだそうです。


先日、私の店のnet通販の宅配業務をしてくれる方と打ち合わせをしていたとき、「今時、通販お節で冷凍食品ではないほうが希少です。私が知る限りではほとんどないといっていいかもしれません」と伺って驚きました。


冷凍するなどと言う考えすら頭に浮かばない昔気質の職人では発想自体が異次元です。


友人の食材屋さんは岐阜にあるその手の工場見学に行ったことがあるとかで、「年間18万食だってさぁ。。。びっくりだよね」と言いました。京都などの高級料亭がデパートで全国展開するお節料理にはその手の食材を使うところもあるのだそうで、本当の店のお得意様と、デパート販売では別のルート 別の品物なのだそうです。



冷凍のお話で驚きましたが、業界にはお節料理用の業務パックがたくさん存在していて、昆布巻き 伊達巻き 黒豆 田作り 数の子etc etcほとんどすべての食材が「出来合い」で売られています。


とある有名料理店に勤めていた職人さんとお話ししたとき、「膨大な料理のお節料理をどうやって作っているのですか?」と聞くと、「あっ、全部出来合いです」とあっさり答えられました。


「だって、お節料理の仕事ができる職人なんていないんですから」とも。


販売さているお節料理が冷凍ではなくても、出来合い(調理済み食材)で満たされている、または多少なりとも使われいるお重箱が世間にあふれているといって間違いありません。



手仕事を貫く。。。というと立派に聞こえてしまいますが、代々受け継がれ変革してきた職人仕事を続けていたら、周りがすっかり変わってしまっていたという浦島太郎状態の店なんですね。


あっ、そうそう、かまぼこは手作りではありませんでした。長いお付き合いの瀬戸内のお店から頂戴しています。ここのを使い始めるとほかが使えません。



今年も これから数日間 facebookと twitter お節料理の進行具合をご覧いただけます。ご注文いただいたお客様は、「私が食べるやつができあがっていく様子」が見られるって訳です。どうぞご覧ください。