少数派


ボージョレヌーボ 店では20年で二本くらい使っただけです。ほぼ興味ありません。とはいっても、ボージョレヌーボ生産量の40数パーセントが日本で消費されるそうで、「ワインはヌーボの時だけ飲む」というワイン人口もものすごく多いというのがこの国の実態なのだそうです。ワイン好きではありますが、世の中の多数派ではないことを実感するのはこんな時です。



本が好きです。というか、ちょっとした時間が空くとつい活字に走っていることに気づきます。とはいっても週に二三冊がいいところ。少なければ一ヶ月に四五冊の時も。55歳を超えた頃、勉強のためにがんばって読む本は極力減らそうと思ってから以降、読書はTVがバラエティを見るのと同レベルになっています。「本を読むから偉い」とか「読書は人間を育てる」なんていう本の読み方をしようとはみじんも思っていません。


そうやってTVと同様の楽しむ読書だけをしていると、読書人口はそれなりに多いのではないかと勘違いしてしまうことがあります。一ヶ月に一冊も本を読まない方は人口の30%を超え、一ヶ月に一冊という方を含めると70%になるのだとか。私は少数派なのだと気づいて愕然とします。


音楽が好きです。50年間音楽がなければ生きていけなかったとおもうほど、ずっと好きでした。頭の中の音楽範囲は70%がジャズ。20%がクラシック。残りの10%がそのほかの雑多ですが、その比率ではまったくメジャーではないことは理解しているつもりです。とはいえ、ビートルズの時代もフォークの時代もロックの時代も斜めから見てきて、世の中それ一色と思われた頃を肌で知っているつもりでした。ところが、実際ビートルズを愛してやまなかった人口もフォークに染まっていた人口もロックを聴き続けている人口も、決して大多数ではなかったようなのです。メディアが騒ぎ立てたことでその気になっていただけで、実際にその音楽を愛し、長く聞き続けている人口はやっぱり決して多数ではないのですね。多くの方々はそのときの流行の音楽を時流に乗って聴いていただけで、「愛してやまない」人口はやっぱり少数派なのです。


映画を観る時間がとれなかったら死んでしまうかもしれません。という程度に映画が好きです。観る映画95%は洋画・・・なのですが、近頃のシネコンのラインアップは私には絶望的です。出かけられる範囲に三つのシネコンとひとつの単館があるのですが、オスカーを取った作品でも上映されないことは普通にあって呆然とします。日本歴代興行成績上位の映画のランキングを観れば、「ああ、やっぱり俺って少数派」と納得してしまいます。これらの映画で映画界が成り立ってきたのですから、シネコンのラインアップに文句をいっても仕方のないことなのです。


そういう少数派の頭しか持たない職人が切り盛りする料理店がメジャーになるわけがないというのも自明の理なのです。頭の中がメジャーになれないままずっと過ごしてきたのですから、これまでなんとか店が維持できただけでもありがたいこと、少数派には少数派のファンがついてくれたのだと、お得意様たちに手を合わせて感謝すべきなのですね。


このブログやFB TWを観てくださっている方々もきっと少数派のお仲間なのかも・・・ね。