SNSとの付き合い方
店のリニューアル後、まとまった文章を書く時間を見つけるのが難しくなって、ブログに文章を載せるよりもFACEBOOKやTWITTERにちょっとした情報をupすることが多くなりました。
ブログからSNSへといっても、店の名前や個人の名前を背負って言葉を公にするスタンスにずっと変わりはありません。net匿名で誹謗中傷や責任のない発言をしないというのは、1990年代にnetにかかわりだして以来の基本姿勢です。
ブログであってもSNSであっても、店であっても個人であっても、公にする言葉で、人となり店となりが現れるものです。
そういうスタイルに間違いのないことを裏付けてくださったのが、佐々木俊尚さん著書「自分でつくるセーフティネット」です。平易な文章でわかりやすく書かれていますが、その内容は示唆的な文章にあふれています。
いわく
フェイスブックのようなSNSは行ったレストランや旅行を自慢する場所なんかじゃなくて、「人間関係を気軽に維持していくための道具」であると同時に「自分という人間の信頼を保証してくれる道具」でもあるんです。でも、そうやってSNSを活用するためには、自分の日常や日々考えていることを常に見てもらわなければならない。そういうなんでも丸見えになっちゃう「総透明社会」だからこそ、自分という人間を保証することができるということ。そこでは善意も悪意も、全部が見えてしまうんですよ。
私はここ数年フェイスブックを使ってきて、「これって名刺代わりになるよなぁ」と感心することが多くなりました。
悪意に満ちた発言は、自分の評価を下げる。
インターネットの総透明社会では自分の日常や友人関係をさらけ出していることが、他人に信じてもらうための保証の役割を果たしているんです。
そういう生き方そのものが戦略となる時代となります。
などという言葉達が並びます。
一方で、個人情報をさらすことに極端に臆病になる傾向も確かにあって、実名が基本のfacebookでもペットの写真をプロフィールに載せ、生年月日はもちろん住む場所も職業も伏せて名前だけを明らかにしている方も多くいます。これはnetとのつきあい方の違いなんでしょうね。
店を背負って日記を十数年書き続けていると、どこまでを公にするべきか、何を公にすることに利点があるのかもなんとなくわかってきます。その上でのFACEBOOK TWITTERとのつきあいに発展したのだと思います。
net上での個人情報と同様に、店使いでも近頃は極力会社名を明らかにしない方が増えています。
仕事上で使うのですから、最終的に領収書を発行する際には会社名を明らかにする訳なのですが、個人名で予約し、個人名で来店されお帰りになる直前まで社名は秘密なのです。そこまで会社名が秘匿情報というなら個人名も偽名でも構わないのですが。
料理屋という商売を長年やっていますと、お客様の情報を外へださないことへの配慮は、社会的に個人情報が云々されるよりも遙かに前から料理屋のたしなみとして身につけているつもりなのですが、接待慣れしていない40代よりも若い世代は料理屋のそういう姿は理解していただけないのでしょうね。
もちろん公にはしませんが、会社の大切な接待で使う場合など、会社名や業界、接待先がどなたであるかがわかっているかどうかでお迎えする私たちの姿勢は大きく変わります。部屋割りも違うでしょうし、接待先が店のお得意様であれば、その情報があるかないかでは料理の内容もお酒の内容も様々に変化し、より綿密な仕事ができることになるのです。
そんなお客様情報が総透明化のSNSの時代にはいってさらに変化が現れています。
たとえば、個人でお越しいただくお客様もFACEBOOKのアカウントをお持ちですと、お客様情報が自然に手に入ります。もちろんデバガメ根性で覗くのではなく、その方が普段使われるレストランや最近飲んだお酒、好みの情報を知ることは、私たちのように小さな店では大きなメリットとなりますし、お得意様がFACEBOOKでつながっていれば、ここ数ヶ月で飲んだお酒の履歴などもわかって、それを参考に自分の店での楽しみ方も変えることができるのです。
つい最近net上でご予約を入れてくださったお客様はアドレスを見ただけでnetを有効に使われていることが垣間見える方でした。案の定net上には「○○(日本酒銘柄)を置いていそうな店に予約をしてみた」などという文字が見えました。
というわけで、今在庫にはなかった○○(日本酒銘柄)(なかでもかなりマニアックなヤツ)を仕入れ、まだお目にかかっていない一見のお客様にもケアができるのです。
SNSの時代のnetとのつきあい方、人間そのものが現れるのであれば、人として成熟していることが求められる時代なんでしょうね。
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