月日で人は変わらない


三十八年目の再会でありました。




学生時代、専攻は原田俊夫先生の元、マーケティングでした。


原田先生の授業の別に、ハイソサエティ・オーケストラの先輩でもある鈴木誠一先輩のお声かけでサブゼミにも参加していました。


マーケティングをより深く勉強するためにと、単位にもならないサブゼミに集まったのは同学年の五名。


ここでの勉学で私は初めて「学問というのは面白いモンだ」と気づきました。


それまでの勉強は試験に受かるため、単位を取るため、受験に成功するため、企業に採用されるため。。。となんらかの目的があり、苦痛をともなうものでしたが、サブゼミでは純粋に学問のため、知識欲のために勉強することが目的で、新しい物事が自分の頭の引出に入るたびにその歓びを享受する日々でした。


当時まだ新しい分野だった物流論 システム論をはじめとしてマーケティング分野のお話だけでなく、科学とはなんぞや、科学的な思考とはどんなものか、と、今でも私の基礎となっている物事の考え方をこのサブゼミで学ぶことができたのです。



そのメンバー全員六名が38年ぶりに昨日東京で再会しました。


ささやかに期待していた見事なハゲっぷりや太りっぷりもなく、若干のおでこの広がりと少々の貫禄をつけたくらいで、三分すれば姿形は違和感なく受け入れられる範囲内の面々。


なにより驚くのは皆の話しぶり、人柄が38年前と寸分も違わないことでした。しかも私以外は日本人が全員知っている会社の中核で働き、勤め上げていいたり、業界内で地域を代表する会社に自社を築き上げていたりしていました。


皆が5-10分程度で卒業後の歩みを語っても、誰一人として「部長の長話」のように緩慢な話題に陥らず、自慢の欠片もないのに、よく聞くと、大企業同士の巨大合併プロジェクトの中枢にいたり、大企業の会長のおそばで活躍したり、企業の中国進出の足がかりになる業績を残していたり、情報なんとやらのプロジェクトを立ち上げていたり、震災を乗り越えて倒産の相次ぐ業界で業績を伸ばしていたり。。。。と、片田舎の料理店を切り盛りすることだけに時間を費やしていた私とは雲泥の差の企業人としての実勢をもっているのです。


しかも家庭人としても六人とも離婚経験もなく子供達は二人東大とか、音楽家とか、大企業に就職という具合で、世間で話題になる負の連鎖が入り込む隙もない人生を歩んできたようです。


皆、学生時代にまじめに積み上げて勉強していた姿をそのまま社会人としても貫いていて、今「世界で尊敬される日本人」って彼らが創り上げたんだなぁと実感した再会。似たもの同士が集まったのか長い時を隔てて集まってもきわめて居心地のいい会が持てたこと、彼らが友人であることを改めて誇りに思う時間でありました。