人事のお話


TVドラマ「半沢直樹」 要は人事の物語なのだそうです。


二話分を録画で観たことしかない私には「へぇぇ、なるほどねぇ。。。」としか言いようがないのです。


一方で女性達は「男どもってほーーんと人事の話が好きねぇ」とのたまうのだそうです。


人事とは無縁の仕事を長くしている私にはこれも「へぇぇ、なるほどねぇ。。。」としか言いようがありません。


そう言われてみれば、確かに男どもは仕事上、同期のあいつより半年でも一日でも早く課長になることがモチベーションになるのでしょうし、酒飲み話に「○○が飛ばされるらしい」みたいな噂話ほど盛り上がるものはないらしいのです。つまり、多くのサラリーマン序列社会に組する方々は定年まで人事上一歩でも上を目指すってことなんでしょうね。


その縮図をドラマで劇的に見せられれば、そりゃぁ視聴率もあがるのでしょう。



私はそういう競争社会がまったく苦手でした。人より優れたことなどなにもなく、上にのし上がろうというガッツもなく、そのための努力なんてしたくもないのに、自尊心だけは高くて、抜かれていく自分が惨めで逃げてばかりいました。


人事に関係のない板前ではあるのですが、修業時代の数年間はサラリーマン社会ほど厳しくはないとは言え、追廻から、野菜方、焼き方、揚げ方、脇板、煮方、立板という序列ははっきりと決まっていて、同期とその前後二三年がしのぎを削って、一歩でも早く上に上がろうとしていました。今振り返れば、そこで同僚より半年早く焼き方に指名されようが、それが二年遅れようが長い板前人生にはほとんど影響のないことなのです。最終的に調理長として店を切り盛りするためには修業時代の3-5年くらいの序列は芥子粒のようなものだったのですね。んでも、当事者はいつもあせっていたのでした。ほーーんとにいやでした。



そこから解放され、店をやりくりして今のように小さなサイズで人事なんぞ全く関係のない生活のなんと心地いいことか。


力のないことを自覚している人間にとって競争、ランキング、星の数などという大きな意味での人事査定のようなものにはこれからも近寄りたくないモノです。