トラブルに立ち向かうな。


蒸し返すようで恐縮ですが、乙武さん問題。


乙武さんご本人はブログでご自身の立ち位置を表明してこれ以上このことに発言はされないのだと思うのですが、周りでは未だに乙武さんが正しい、店側の言い分に理がある・・・と言い立てています。


料理店を長く営む人間から見れば、周辺がどれだけ料理店側に立って擁護してくれようとそんな応援は全く意味をなさないのです。お客様を怒らせてしまったのであれば、そこに一分の理があったとしても怒りを静めるための誠意を見せ、謝るだけが店のとるべき態度です。


そこで「そういうあんたの方がおかしい」と対決することには店のメリットは全くありません。今回のように店の側で援護射撃をしているように見える方々も、実際には店のためになってりのではなくて、援護する方の自己満足でしかありません。


料理店が弱い立場であるというのではなくて、料理店を維持していくというのはそういうものなのです。


一人でも客を失い、評判を落としてしまうだけで負けです。対決して言い負かしても、裁判に持ち込んで勝訴してもそれは自分自身の心の満足だけで店にとっての満足ではありません。


ましてやそれが公になってしまったとしたら、店の言い分が70%正しいとしても、公になった時点で負けです。その評判が店の利益(金銭的な利益だけでなく)につながることはまずありません。その評判を聞きつけて店を訪れる方がいたとしても、そういう方々がお得意様になることはありません。公にならないための努力をすることが唯一の料理店の道です。


食べログや2チャンネル、ブログなどでトラブル以外にも批判に常にさらされている昨今の料理店は、それらに取り合わずに、ひたすら目の前のお客様にまじめに向かい、外野からのピーチクパーチクを遮断してコツコツとお客様の満足に努めるしかないのです。小さなトラブルにも大きなトラブルにも頭を深く下げる。外野はできれば騒ぎ立てずに静かにしていていただきたいと思うのが料理屋です。