映画「ゼロ・ダーク・サーティ 」


映画「ゼロ・ダーク・サーティ 」を観てきました。


映画の内容がどこまで真実であるのか?国家の思惑を考えれば現実的には一歩引いて観るべきだとは思いつつも、ウサマビン・ラディンが(まだたった)二年前に米軍のミッションによって殺害されたという事実は動かしようもなく、冒頭のシーンからひとつひとつに説得力を感じてしまいます。映画の流れはいわゆるエンターテイメントのサスペンスに比べるともたもたしたり、劇的な逆転は起こりにくかったりするわけですが、それが逆に映像に真実みを与えて心に重くのしかかります。


一番の山場であるビン・ラディン隠れ家襲撃作戦は、実際にリアルタイムでホワイトハウスが見ていたわけで、オバマ大統領、クリントン国務長官らがまさに息をつめて作戦進行状況を見つめたといういかにもハイテク近代戦を見せつけられたことを思い出します。映画での襲撃シーンはまったくこれと同じ状況でモニターからリアル映像を自分が見ていることも不可能ではないわけで、実際見ているかのような錯覚を覚えてしまう迫力なのです。たった二年、たった二年前に起こった事件がそのまま目の前で展開しているのです。ここに至れば、「一歩引いて観る」などとのんきな気分など吹っ飛んでまるですべてが事実であって目の前で展開しているかのように思ってしまいます。


着眼点といい、取材力といい、映画作りといい、キャスリン・ビグロー マーク・ボール恐るべし。