燗酒のほっこり


長いおつきあいのお得意様はお好みも一通り理解し、普段お出しする料理もお酒も定型ができてきます。


先日お越しいただいたご家族は、最初にお越しいただいたときに小学生だったお子さんが、今は法科学院で弁護士を目指していらっしゃるという才媛に成長された眩しいばかりの若さに輝く方。


店にある最上の日本酒はもとより古酒の数々も経験されているのですが、「そういえば、この前酒屋さんで薦められて買ったお酒、燗にしたらイマイチだったよねぇ」とおっしゃいます。


考えてみたら燗酒をお薦めしたことは一度もありませんでした。実際、大吟醸のいいものを中心に召し上がっている方に燗酒をあえてお薦めすることはあまりしていません。


でも、燗酒の美味しさも・・・と「実は燗酒にもディープな世界があるんですよぉ」とぬる燗でお出ししたのが、悦凱陣 神力純米酒 平成21年


「なにぃ、これ! 麹の香りと旨味がつまってる感じ。じんわり美味しいですねぇ」


名だたる大吟醸をお出しした後、最後の一杯でお出ししたので、順番から言ってもご理解いただけるかどうか少々不安ではあったのですが、美味しいものの理解が深いことにかけてはさすがです。


「燗酒がこんなに美味しいなら次回は燗酒シリーズで是非」とおっしゃってくださいました。




普段店で用意している燗酒用の日本酒はこんな感じ



悦凱陣 神力純米酒 平成21年(香川)
白影泉 純米 平成16年(兵庫)
喜久酔 特別純米(藤枝)
群馬泉 山廃純米(群馬)
磯自慢 特別純米青春(焼津)


淡麗 香り 旨味 味わい 奥行き  さまざまな違いを網羅したつもりではあるのですが。