ドラゴンタトゥーの女


週末に映画「ドラゴンタトゥーの女」を観てきました。


この映画の予告が劇場に現れたのはかなり前のこと。当時はまだ小説「ミレニアム」の映画化であることも知らず、予告のおどろおどろしい映像とヘビメタの激しい音楽が心に焼き付くものでした。映画館に行くたびに見せられると勝手に映画の大筋を想像してしまうもので、「ミレニアム」のあらすじさえ知らない私は「きっとドラゴンタトゥーの女ってのは”ニキータ”のような暗殺者なのかも」とか「映画は”セブン”に”羊たちの沈黙”を掛け合わせたような暗くて恐ろしいものに違いない」「主人公たる女はオートバイを華麗に乗り回し秘密めいた技で誰かを暗殺するのか」などという想像を膨らませていたのです。何しろ予告には何一つストーリーの暗示がないのですから。


しかしながら、本編を見始めるとそんな想像とは全く違う内容、違う女性のキャラクターで、ある一族の過去を振り返るにも人物が多くて頭の中が整理できないままストリーが進んでしまいます。とはいえ、さすがはフィンチャー監督、安定感のあるストーリーテリングと統一感のある映像の色調で観客の目を惹きつけ、話の中にぐいぐいひきこみます。


主演のダニエル・クレイグもいつものマッチョな雰囲気を消し去り演技派としての力量を見せつけ、なんといってもルーニー・マーラの変化する超個性的なキャラクターの心理描写が素晴らしい。


彼女がアカデミー賞授賞式でどんな雰囲気で現れるのか、ものすごく楽しみです。


先日「宇宙人ポール」が今年のベスト3に入ること間違い無しといってしまったのに、この「ドラゴンタトゥーの女」もベスト3間違い無し。


これから「戦火の馬」「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」「J.エドガー」と続くのにどうしよう。早くも前言撤回で、ベスト3→ベスト5に訂正しなくてはいけません。いやそれにしても今年の劇場公開のレベルは高いぞ、いいな。