ブラック・スワン


スコセッシの「シャッター・アイランド」がそうであったように、精神異常をあつかった映画は見ていてつらくなります。


どんなストーリー展開があっても「実は精神異常の妄想でしたぁ」とされてしまうと、フラストレーションがたまって映像を見ていてもイライラがつのってしまうのです。


ブラック・スワンも「白鳥の湖」の主役に抜擢された主人公が、その重さに耐え切れなくて、母親との関係、同僚との関係、ディレクターとの関係の軋轢に妄想が膨らんでいく物語です。とはいえ、「お前の踊りは正確でも情感が足りない」と自慰やセックスを薦めたり、感情表現が素晴らしいバレリーナがタバコやクスリをやっていたり、それらをこなしたところで一皮むけた演技ができたり・・・というところは限りなく違和感を感じてしまいます。


ダンスには全くの無知な私が見ても、ギエムのダンスが豊かな人生経験ゆえであるとは思えません。セックスのおかげで官能的な感情表現が豊かになり、タバコやクスリのおかげで違う世界が見えた?そんな低いレベルの感情表現がタップリな芸術がもてはやされるのは1960年代までです。


実際には映画の中でのそういった表現は流れの中のほんの一部かもしれませんが、私の心の中には小さなとげのように刺さって離れません。


大好きなナタリー・ポートマンの熱演と、「レスラー」でぞっこんになったダーレン・アロノフスキー監督との映画なのに。。。。


んでも、サイコホラー好きにはお奨めかも。