級長タイプ


先日、同級生同士が数名集まるお客様の会がありました。まだ二十代後半の若い方々なのですが、中にひとり目立つ若者がいたのです。


見栄えがよくて、発言にみなが耳を傾ける説得力があって、穏やかそうな雰囲気。きっとスポーツなんかもなんでもできて、学生時代にクラスのヒーローだったんだろうなぁ。。。と想像していました。


皆さんの周りにもいませんでしたか?勉強ができて、スポーツも学年でトップクラス、ハンサムで、発言はいつもみんなの注目を浴びるって言う万能タイプの同級生。


私の学生時代にもいました。特に印象的だったのが中学の同級生。


勉強はクラスのトップ、サッカー部の花形、坊主頭でも見栄えがよくて、制服がいつもパリッとしている。私なんか声もかけられない女子とフランクに話す気さくさがあって、当然のように学級委員長に一学期に当選する万能男。


私なんぞすべての部分で二番手以下でしたので、いっそ・・・と彼に金魚の糞のようについてまわっていました。なにかおこぼれに預かれるかもしれない・・・ってね。もう彼のような存在がうらやましかったのです。


で、
私はというと、すべてに渡ってそれ以下であったのですが、二学期か三学期に学級委員長に選ばれるようなヤツでした。


思い返すと、学級委員長と言う役職が成立する小学校の3-4年から高校三年まで、すべての学年でずっと学級委員長をおおせつかっていたのですが、すべての学年で二学期以降、つまり二番手以下でありました。


不思議なのは勉強もクラスのトップファイブに入るわけでなし、見栄えがいいわけでなし、スポーツは「音痴」の域、リーダーシップはかけらもなし・・・なのに投票で選ばれていたというのは、どうやら私の八方美人な性格のなせるワザであったのかもしれないと思います。人に嫌われるのがつらい、どっち方向にもいい顔をしておく。そんなヤツだから二学期以降の学級委員長だったんでしょうね。



中学校二年生のとき、生徒会長に立候補する人間をクラスで選ばなければならないことがありました。生徒会長候補者ですから当然のようにスーパーヒーローの人気者が選ばれるものと私も思い、スーパーヒーロー本人も「俺が選ばれちゃうのは仕方ない」という雰囲気でいる中、投票の結果は「私」 


えーーー!なんか悪い夢に違いない。いやな汗が背中に流れたことを今でも思い出します。


学校全体での選挙運動(無理やりです)の結果、めでたく生徒会長にはならなかったのですが、なんでいつも二番手以下(かなり下のほうの以下)の俺がこんなことに・・・というある意味トラウマになりそうな経験でありました。全方向にいい顔をするのもたいがいにしておかなくてはいけなかったのです。


高校のときも同じようなことが。


高校になると、生徒会長はまず自ら立候補する者を募り、いなければ各クラスで選んだ候補者が選挙活動をするというシステムであったのですが、最初の立候補の時点で生徒会担当の教師が私の家まで訪問してきて「立候補してくれ」と粘られました。


一年生のときからクラスで選ばれた生徒会の役員をしていく過程で、教師に歯向かわないヤツ(学生運動が高校にも及ぶ傾向があるなか)、八方美人で敵を作らないヤツという印象が教師に残ったんでしょうね。ここでも勉強ができるわけでも、スポーツができるわけでも、リーダーシップがあるわけでもないのに、「どっち方向にもいい顔をしておく」性格が災いしてしまったんだと思います。


そのときは、「もう受験のこともあるし生徒会活動なんて無理」と頑なに断って難を逃れましたが、以降、人が集まる場所で目立つことを避けるようになりました。


万能のスーパーヒーローは歩むべき道がありますが、二番手以下(かなり以下)が実力以上の評価をされてしまいそうになるっても恐ろしいことなんでありますよぉ。級長タイプではないはずなのにめぐりめぐって級長になって行くタイプ。政治家にならなくてよかったぁ。