中村仲蔵


立川志の輔さんのパルコ公演の録画、最後の演目が「中村仲蔵」でした。


これが素晴らしい仲蔵でした。


私が知る「中村仲蔵」は名演として名高い正蔵(彦六」さんと、さん喬さん(円楽さんもTVで見たかも) それらは、仲蔵が忠臣蔵 定九郎を演じるところだけの噺ですので、仲蔵というのはそういうものだと思っていたのですが、志の輔さんのそれは、幼年時代から稲荷町(通行人程度の役)にまで遡って、血筋のない役者が登り詰めるまでを丁寧に描いています。歌舞伎仲蔵の真骨頂はなんといっても、日の当らない役に新しい解釈を加えて演目自体をよみがえらせるところです。志の輔さんの仲蔵は、その落語自体がこれまでの仲蔵に新しい光を与えてよりドラマティックに、より躍動的に劇的に変化しているのです。まるで落語の噺の内容と、志の輔さんの語りがシンクロしているように。こりゃ素晴らしいを通り越して呆然と見守るだけ。まさに、仲蔵が最初に定九郎を演じたときの江戸の桟敷席の客のようでした。


すっごいなぁ。。。志の輔さん。


直後、ニコ動でさん喬さんの仲蔵を聴くと、これがまた丹精で素晴らしい。一日に二つの名演を聴けて幸せでした。