カウンターの弊害


休日の昼、用事で出かけた車で一時間くらいの街に比較的新しい蕎麦屋の看板を見つけました。


「ああ、こんな処に新しい店が。。。お昼時だし入ってみよっかぁ」と暖簾をくぐりました。


出迎えてくれたのは60代とおぼしき女性二人、女性だけの手打ち蕎麦屋ってのは、山奥の「かあさんの店」みたいの以外では初めてです。



座ったカウンター席は仕事をする二人の手元がそのまま間近にみえます。


これがいけません。気になって仕方ないのです。


どうみても職人仕事の修行を経たというよりは、料理好きの奥様の仕事です。


「ああ、その仕事の前に竃の湯をたぎらせなきゃ」
「天麩羅の油温は大丈夫?」
「蓮根も揚げるなら海老よりももうちょっと早く油に投入しないと」
「ああ・・・海老、その大きさだと揚げすぎ」
「今、鴨南蛮の鴨をいれると、蕎麦の茹であがりよりも早すぎ、硬くなっちゃうよぉ」


などなど、一連の動作が気になって気になって、まるで弟子を見つめる親方のようです。


出てきた蕎麦は新蕎麦らしく緑がかったきれいな蕎麦で、上手に打ってあるうえに、出汁も及第点以上なのですが、仕事っプリを目の前でみていると気が気でないってのが困ったモンです。一般の方がみれば普通の蕎麦屋の仕事に見えるんでしょうけどね。職人のサガです。カウンターから料理人の手元が見えないようにしてくれるときっと楽しめるはずなのに。。。