宮本昌孝さん


目黒孝二さんがご自信のサイトで「この『火群のごとく』(あさのあつこ)は、『蝉しぐれ』『藩校早春賦』に拮抗し得る作品だ」とおっしゃっているのを見て、「蝉しぐれ」が大好物の私としては「むむ、話題の『火群のごとく』・・・読まなくては」と思うと同時に「『藩校早春賦』も『蝉しぐれ』と並ぶとあればいっしょに」と二つを注文してみました。


私にとっては山本周五郎「長い坂」と藤沢周平蝉しぐれ」は江戸モノ青春成長小説の極めつけです。


まずは「藩校早春賦」はいかがなものか・・・とページをめくると、聞いたことのあるような知名がいくつか現れ、さらには主人公の「ばかっつら」という方言が。なぁんだ作家の宮本昌孝さんはここ浜松出身、学年もたった一級後輩なだけの身近に感じる方でした。


そうやって読み進めると、神明 伝馬町 鴨江町 鹿谷 馬込川 八幡町 法雲寺などなど近隣の地名がごっそり出てきて、それらの位置関係は地元ゆえに確実に頭の中に描くことができて小説がさらに楽しく読み進めます。


「長い坂」や「蝉しぐれ」に比べるとTVドラマ的なストーリー展開が各所にあるのですが、青春モノとしては十分に楽しめる作品でありました。


これだけ地元がたっぷり現れた小説を読んだのは始めてかも。


昨日の終戦記念日には堀田善衛方丈記私記」の一部を再読。これは毎年この時期に読む価値があります。