段取り


料理人の仕事の良し悪しはすべて段取りで決まるといってもいいと思います。


私なんぞもともと鈍で手が早いほうではありませんから、段取りは特に大切です。たとえば単純作業を繰り返すとき、材料が右にあるか左にあるかだけで随分とスピードが違うものです。そんな単純作業の時には常に次の仕事をどんなふうに組み立てるべきかを頭の中で考えています。焼くもの煮るもの蒸すものをまとめることで時間も短縮できますし、作業に集中することもできます。さらにいえば、食材を冷蔵庫に取りにいく何歩かだけでも、いっしょに何かすべきことがあったかなかったか?今その作業が最優先か?などと考えるのが日常です。


時間が短縮できれば、お客様の予約の時間までによりきめ細かい仕事を積み重ねることができますし、効率的でなければコストの面でも辛くなるのです。


すべての職人、すべての会社員も同じようなことをしているはずで、仕事のできる人というのはある意味「段取り上手な人」なのでしょうね。