ジプシー音楽との出会い
興味はあっても理解できない音楽や文学、美術があるとき、まず浴びるほどそのものに接するといきなり心の中の腑に落ちる瞬間があります。
私にとってはピカソがそうであったし、マーラーがそうであったし、ヴィスコンティがそうであったのですが、ある意味得意分野のジャズでもジャンゴ・ラインハルトはなにがどう凄いのか長い間理解できませんでした。
が、
ちょっと前、ピーター・バラカンさんの「ウィークエンド・サンシャイン」で二時間弱のジャンゴ特集があって、個人では簡単に手に入れ聴けないほどのジャンゴ・ラインハルトを一気に聴いた時あっという間に
「すごっ!ジャンゴ」と理解できてしまったのです。(関口義人さんとバラカンさんのお話が素晴らしかったこともあります)
ここでもやっぱり浴びるほど(たった二時間弱ですが濃密でした)・・・は私にとって間違のいない法則でした。
ジャンゴの素晴らしさを理屈でなく感じてから聴きなおしたアルバムが「ビレリ・ラグレーン&シルヴァン・リュック」のデュオ。どういう経緯でこのアルバムを購入したかも忘れてしまっているくらい一度聴いただけでその後眼中になかったアルバムなのに、ジャンゴの凄さがわかってから聴く同じジプシー出身のビレリ・ラグレーンのギターは、初めて聴いた時の数倍の力で迫ってきました。
こんなに素晴らしいギタリストを自分の範疇の外に置いてしまったままでいなくてよかったぁ。
調べると、ジャコ・パストリアスとのアルバムもあって興味はますます広がります。
これまでチェックを怠らなかったギタリストといえば、パット・メセニー、ジョン・マクラフリン、ジョン・スコフィールド、スティーブ・カーン、ジョン・アバークロンビー程度であったのが、あらたにきっちりリストに加わりました、ビレリ・ラグレーン。(すべての音楽ファンにお奨め・・・ではありません。ギター好きにはすでに常識かも)