合う人合わない人


私の場合、根っから食い意地がはっているもんですから、料理店へでかけて料理を残すことはほぼありません。


たくさん頼みすぎることもありませし、コースの料理が多すぎて食べきれなかったこともありません。


自分で選んだ店が「だめだぁ。こりゃ不味くて食べられない」と思うようなこともほとんどありません、たぶん。



そういう人間が料理を作っている店ですので、一切れでも食べ残しがあるとものすごく気になります。「何がダメだったんだろう?」「不味いか?これ」「これでは量のバランスが悪いか?」などなど。


実は残すほうは大した理由がない場合も多いらしいのですが、お安くないお足を頂戴する身としては切実な問題です。


実際一般の店に比べたら食べ残しは少ないほうだとも秘かに思っていたりもするのですが、まれに、ほとんどの料理を食べ残すお客様もいらっしゃいます。すべての皿が一口二口だけ箸をつけただけでテーブルにすべての皿が並んでしまう方。「お下げしましょうか?」とお尋ねすると「いえ、食べますから」といいつつその後も箸をつけない。


ご予約の際に「コースの料理だけをご用意しております。一品料理はありません」と申し上げることは忘れませんが、もしかするとこういう類の食べ方をする方は、店選びを間違えたのではないかと思ったりします。


カウンター席の店、一品料理をたくさん用意されている店でしたら、料理は一皿でも注文できます。たくさん食べられない方、お酒を飲み始めると箸が止まる方、お話をしだすと料理は関係なくなる方、そもそも料理に興味のない方・・・というのも確かにいらっしゃるのですから、そういう方はそういう食べ方にあった店を選んだほうが賢いように思えます。


食べる食べないは全くお客様の自由であるのですが、高い料金を払って食べないというのは作る方も冥利の悪いものです。


残った料理を見つめてため息をつく・・・あんまり経験したくないことです。


あっ、いや、不味くて食べられなかったという意思表示でないことだけをお祈りしつつですが。